2015年2月8日日曜日

スペイン水彩スケッチ その8(コルドバ)

コルドバ  ユダヤ人街の小径
グラナダまではバスでの移動。地方では幹線しか鉄道が通っていないので、いきおいバスが移動の中心となる。日本の高速バスのイメージに近い。座席も広く、そう混み合ってもいないので快適であった。今回のように簡単な飲み物と食べ物が付く場合もある。
また、バスステーションも立派で、鉄道駅より街なかにあることが多かった。旧市街地は狭いところが多く、なかなか鉄道が入り込めないのだろう。

バスの時刻表もインターメットで検索でき、クレジットでの乗車券購入も可能だ。ただし、すべての路線が載っているわけでもない。実際、検索できなかった路線も現地で確かめるとちゃんとあった。バス会社が変更になっていたらしい。
旅程を組み立てるときは、行き先と時刻の組み合わせでパズルを解くような難しさがあったが、旅行会社に頼まなくても、すべて自分でアレンジできるとは、まったく素晴らしい時代になったことだ。

乗車時に配られた飲み物と軽食。今日の乗車時間は2時間半。
荒れた土地にアリーブ畑

赤い瓦にオレンジ
コルトバのバスステーション。メスキータを模したものか、たくさんの柱で支えられていた。
コルドバも8世紀からのイスラム支配の中心地の一つだ。メスキータは巨大モスクとして建てられ、数万人が同時にお祈りが出来る場所だった。偶像崇拝を禁止したイスラム教のモスクはお祈りの場所でしかない。中心というものはなく、柱が林立する独特の均質な空間が広がっている。

ところがイスラム支配が終了すると、その広大なモスクの真ん中にキリスト教会を増築してしまった。イスラム調の柱の上に、白いゴシックのボールト天井が架けられていて、不思議な景観を生み出している。

日本からの団体客を案内しているガイドの説明が耳に入ってきた。広大なモスクを短期間で建てるため、柱はあちこちの建物から取ってきた(略奪した?)ものをそのまま使っているそうだ。そのため何種類もの柱が混在している。
なるほど。普段はオーディオガイドも滅多に使わないけど、聞いていると面白いしよく分かる。

メスキータのミナレット(尖塔)


モスク部分の柱
次第にキリスト教意匠が入り込む。
中心にあるキリスト教の大聖堂

こちらはモスク部分の天井

光が落ちているところはキリスト教のドームがある。

普通は絵にしたいところだろうが、祈りの空間でもあるし座る場所もないので遠慮することにした。
メスキータ外壁の文様

メスキータの付近にはユダヤ人街が広がる。狭い路地、白い壁、花の鉢植え、パティオなどいかにもアンダルシアの風景が広がる。



有名な花の小径。なんということのない路地だが、ここからメスキータのミナレットが望める。

昼食をとったパティオ
それぞれ個性的なパティオ
パティオに入る鉄扉の意匠もいろいろあって面白い。

ここはアラブ料理の店らしい。夜にもう一度きてみよう。

ホテルはユダヤ人街の中心にある。セビージャで泊まったホテルとチェーンらしい。どちらも邸宅を改装した雰囲気のあるホテルだ。
ホテルで少し休憩してから、夕食を取ることにした。今日は少し趣向を変えてと思い、昼間見たアラブ料理の店に行くことにした。しかし、これが間違いの元だった。

当然のごとくワインを頼もうと思ったのだが、お茶しか無いという。なるほどイスラム文化ではいろいろ注意することがある。食事自体は美味しかったのだが、図らずも初めての休肝日となった。
代わりに、りっぱな水パイプは置いてある。お酒より喫煙のほうがからだに悪い(はずだ)よね。

泊まったホテル
ホテルのパティオ

夜のミナレット

アラブ料理の店で。お茶しか無かった。残念。
アラブ料理のお店にて。立派な水パイプがありました。

2015年2月7日土曜日

スペイン水彩スケッチ その7(グラナダ)

アルハンブラ宮殿(F4サイズ  インク+水彩)

グラナダはスペイン最後のイスラム王朝の首都だった。15世紀のナスル朝陥落により800年に及ぶイスラム支配が終了を迎えることになる。
王の居城であったアルハンブラ宮殿の一角はパラドール(国営ホテル)となっていて、中で泊まることが出来る。しかし、さすがにスペイン第一の観光地だけあって料金も一流である。同じパラドールでもロンダの4倍もする。マドリッド随一の格式を誇るホテル「リッツ」より更に高い。

グラナダには夜に着くので、その日は市内の格安ホテルに泊まることにして、翌日午前中は市内見物、午後からアルハンブラ宮殿を見学して、そのまま城内のパラドールに泊まる計画を立てた。

グラナダ市内の格安ホテル。それでもこのグレード。
このホテルもセビリアのホテル同様邸宅を改造したもの。この手のホテルは安い上に雰囲気が良い。
ホテルの支配人に勧められて、かつてロマ族(ジプシー)の居住区であったサクロモンテの丘の洞窟住居の中で行われるフラメンコのショーへ。完全な観光地と化していて、市内のホテルから観光客をピックアップして何台もの観光バスで乗り付ける。会場も幾つもあり、前の人について入ろうしたら「お前の会場は向こうだ」と言われた。

サクロモンテの洞窟住居の中で行われるフラメンコのショー。
ショーが終わり近くの丘に案内されると、そこからはアルハンブラ宮殿が一望できた。明日が楽しみだ。期待が高まる。

サクロモンテの丘から見たアルハンブラ宮殿とグラナダ市街
翌日の午前中は王室礼拝堂やアラブ街を散策。アラブ街は土産物売り場が軒を連ねる狭い路地が入り組んだところだ。その端っこの広場に面したレストランで昼食兼スケッチ。



王室礼拝堂。中は大変広く、立派なパイプオルガンが何台もある。
アラブ街の入口
昼食をとった広場
いつものように飲みながらスケッチ。日差しが強かった。

 アラブ街にて(F4サイズ  インク+水彩)

アルハンブラ宮殿はさすがスペイン第一の観光地だけあって、見学も予約制である。
入場時間も1日3回と決められていて、自分の予約は14時30分から。インターネットでの予約票もあるので、安心して先にパラドールに入ることにした。

ところが、ホテルの人が何時からの入場かと聞くので、その予約票を見せると「これは大変だ。これだけだけでは入場できない。入口のチケット売り場まで戻って入場券と引き換える必要がある。」という。もう宮殿の中に入っているのに、入口まで戻るとなるとかなりの道のりだ。すでに入場時間15分前。遅れるとどうなるか聞くと、「もうダメ、あきらめるしかない。」ときた。

ここまで来て、宮殿を見ずして帰る訳にはいかない。
妻を残して、脱兎のごとくかけ出した。ホテルの入口にタクシーがいたので、これ幸いと乗り込んでチケット売り場に急ぐ。窓口に駆け込むと、申し込んだ時のクレジットカードが必要という。どれで申し込んだのか、もはや記憶の彼方。しかも札入れはホテルのスーツケースに置いてきた。手持ちのカードは2枚。祈る気持ちでクレジットを差し出すと、幸いにして2枚目で当たった。

冷や汗いっぱいをかきやっとの思いで戻ってみると、妻は呑気に「のっぽの木が風でゆらゆらしてておもしろい。」などとのたまう。どっと力が抜けた。

アルハンブラ宮殿の入口。のっぽの木が・・・。
とにかく圧倒される装飾模様。偶像崇拝が禁止されたため、という説もある。

アラベスク模様。ここの色は比較的抑制的。



有名なアラヤネスのパティオ。自然とアルハンブラのメロディーが思い浮かんでくる。
残念ながら、ライオンの中庭は修繕中。


鍾乳洞を思わせる圧倒的な天井装飾

ひと通り見終わって、アラヤネスのパティオで休憩兼スケッチ。

スケッチをしていると子どもたちが寄ってくる



宮殿からサクロモンテの丘方面を望む


宮殿内にあるパラドールは、修道院を改装したもの。礼拝堂など一部は当時のまま残っていて中から見学が出来る。
今まで泊まったパラドールもそうなのだが、昔のままのお城の中に泊まることを期待して行くと少し違う。外観こそ昔の雰囲気を保っているが、中に入ると近代的に改装されている。部屋もそう広くはなく、内装や設備もごく平均的なものだ。
超一流の宿泊料は、なんといってもこの場所代が大部分を占めているのだろう。

パラドールの入口の門から庭園を通ってフロントに向かう。左側は客室。
ホテルのフロント

ホテル内の中庭
ホテルの中にこんな展示スペースもある。

客室内。1階だった。そんなに広くはない。
レストラン前のテラス
とはいっても、やはりこのロケーションは素晴らしい。昼間だけでなく夜のアルハンブラ宮殿を充分に堪能できるのも、このパラドールならではのものだといえる。



夜のアルカサバ

カルロス5世宮殿


明日はメスキータのあるゴルドバへ。