2012年6月24日日曜日

新しいオールドレンズ母艦と露出のことなど


オールドレンズの母艦として、光学ファインダー機(PENTAXの一眼レフ(K100D,K10D))に加え、電子ビューファインダー機を手に入れた。RICOHのGXR+A12mount+VF-2 である。電子ビューファインダーは簡単に拡大ができ、またフォーカスアシスト機能もついているので、マニュアルでのピント合わせが楽になりそうだ。
電子ビューファインダー自体の見やすさ、綺麗さからいったら、Sony NEX-7 に軍配が上がりそうだが、なんといってもA12mountというオールドレンズ専用カメラユニットの存在が決め手となった。それだけオールドレンズ愛好家が増えているということだろう。

GXR+M42マウント+Industar 50/2  (GRIII)


まず、大きさが良い。ライカMマウントなので、元々デジタル版レンジファインダー機なのだが、デジタル一眼の大きさ(あの不必要と思えるまでのバカでかさ(PENTAXはまあまあコンパクトだが))に辟易としていた身にとってはとても好ましい。かつてのフィルム一眼にも近く、道具としてぴったりと手に馴染む感じだ。

電子ビューファインダーのVF-2は、今となってはNEX-7などに比べると少々物足りないが、実用上はこれで十分だろう(が、ユニット式の利点を生かして、ぜひVF-3を出していただきたい)。

マニュアルのピント合わせは、このファインダー倍率ではちと辛いが、そこはなんといっても電子ファインダー、ボタンひとつで8倍まで拡大できる。ピント合わせのためのアシスト機能もついているが、個人的には単純な拡大モードで十分だ。ピントの山が実際にちゃんとくっきり見えるのがよい。
何よりも、Fnボタンを押すと拡大モードになり、ピント合わせをした後、シャッターを半押しすると即座に元に戻り、構図を再確認した後すぐシャッターが押せる。これは非常に使いやすい。よく考えてあるインターフェースだ。

GXR+Pentax-M 35/2

GXR+Pentax-M 35/2

GXR+Pentax-M 35/2

GXR+Pentax-M 35/2

GXR+Pentax-M 35/2

GXR+Pentax-M 35/2

GXR+Pentax-M 35/2

GXR+ENNA München Lithagon 35/3.5

GXR+ENNA München Lithagon 35/3.5

GXR+ENNA München Lithagon 35/3.5


マニュアル専用カメラユニットとして、(当然)露出もピタリと決まる。デジタルカメラでも実絞りのTTL測光(レンズを通した直接測光;現在のカメラは全てこれ)であれば、露出に狂いはないはずであるが、現実には(K100DもK10Dも)狂いが生じるようだ。実際、現在では「露出に誤差が生じることがある」とホームページに記載されている。

PENTAX一眼はTTLの受光素子がフォーカシングスクリーンの後ろにあるので(これが一般的)、フォーカシングスクリーンを交換したことにより透過率が変わり、ズレが生じた可能性もあるが、それより大きいと思われるのが、直接画像素子にはいる光ではなく、フォーカシングスクリーンを通した光を測定しているため、レンズの絞り情報を元に測光値の補正を行なっている点だ。当然、オールドレンズの場合はその連動機構がないため、補正機能が働かない(あるいは間違って働く?)。実際使ってみても、同じレンズでも絞りによってずれ方が違う。

A12mountでは撮像素子をそのまま測光に使うので、完全な実絞りTTL測光となる。絞ると当然暗くなるが、電子ファインダー上ではある程度補正されるし、通常の範囲内であれば(極端に絞りこまない限り)、光学ファインダーに比べてはるかに見やすい。

GXR+ENNA München Lithagon 35/3.5

GXR+ENNA München Lithagon 35/3.5

GXR+ENNA München Lithagon 35/3.5

GXR+ENNA München Lithagon 35/3.5

GXR+ENNA München Lithagon 35/3.5

GXR+ENNA München Lithagon 35/3.5


もう一つの利点はミラーレスなので、フランジバック(レンズのマウント面からフィルム(撮像素子)までの距離)が小さいことだ。
マウントアダプターを介してほとんどの一眼レフ用レンズが取り付けられる(本体よりフランジバックが短いレンズは、取り付けても無限遠が出ない)。もちろんM42も可能だ。そもそもA12MountはライカMマウント用なので、純正レンズはもちろんさまざまなサードパーティ製レンズが楽しめる。ライカマウントは一眼レフが登場するまで世界の標準マウントだったのだ。こちらの沼もM42に劣らず(M42以上に?)深そうだ。そして、ねっとりとして抜け出せないそうである。困ったね。

GXR+Lマウント+Summitar 5cm/2.0


2012年6月10日日曜日

スペイン水彩スケッチ(その3:ミュンヘンオリンピック公園)


今日は電車に乗って近郊まで。
バイエルン国立歌劇場の公演が今日しかなく、スペイン行きを一日延ばすことにしたのだった。スケッチ旅行に来ているので、極力建築(本職は建築設計です)は見ないようにしていたのだが、せっかくミュンヘンにいるのだからと今日は建築見学の日とした。

ミュンヘンの鉄道は市内線のUバーン(地下鉄)と、近郊線のSバーンがある。東京のように相互に乗り入れており、その違いは料金でしかない。ゾーンごとの料金体系はすごく複雑で、また各種割引チケットもありなかなか分かりにくい。手っ取り早く1日乗車券を買おうとしたのだが、最近タッチパネル式の券売機に変えたのか、web情報にあったボタン式発券機と大違いでやり方がまったくわからない。
地元の人(? もしかしたら違うかも)に聞いてもよく分からない。やっとのことで(偶然にも)たどり着いたが、階層が深すぎて旅行者にはとうてい無理だと思われた(よく見たらUバーン改札の方にはボタン式発券機があった)。こういう所を見ても、つくづくドイツは理系の国だと思う。

Uバーンでオリンピックセンター駅まで。駅はオリンピックの時整備したのだろうか、他の駅に比べて垢抜けたものだった。

Uバーン中央駅。電車はかなりレトロな雰囲気。(写真はすべてGX200)

Uバーン オンピックセンター駅


ここには、オリンピック競技場とBMV本社がある。今日のお目当てのひとつは BMV Welt(BMVワールド)だ。

駅の出口を出ると、すぐBMWワールドが見える。デコンストラクションという傾いたりひん曲がったりしている現代建築様式の代表作だ(設計はウィーンのコープ・ヒンメルブラウ事務所)。

改札を出てエスカレータを上ると、すぐ目の前にBMWワールドが。こちら側は裏入り口。


ここは巨大なBMVのショールームなのだが、それだけではなく、BMV購入者の納車式の場所ともなっている(というかこれがメインか)。ここで車を受け取る事は非常に名誉なことらしい。BMVを手に入れる特別な日を演出するためのスペースが上階の方に用意されている。そしてここはもちろん招待客しか入れない(当然のことブログ主も入れませんでした)。

なかに入ると、正にBMWワールド。

工夫をこらしたBMWのショールーム。

BMWの伝説的ミニカー「イセッタ」

一般の人が上がれるのは2階まで。それ以上は招待客のみ。

Uバーン駅側の入り口。ここでは、全てのものが浮いています。庇、空中歩廊 …。

天井もまるで雲のような浮遊感。

空中歩廊がクネクネとのたうち回る。先に行くと正面入口がある。

正面入口を出ると、そこにはあの有名な「ダブルコーン」が。
向こうにはBMW本社(4シリンダー)、BMW博物館が見える。

振り向くと、オリンピックタワー。

これが建築界の度肝を抜いた「ダブルコーン」。柱もなく屋根を支えている。

空中歩廊は建物を突き出て、BMW博物館の方まで伸びる。

ダブルコーンの中。残念ながらイベントがあるらしく、中に入れなかった。

正面入口(Uバーン駅からは反対。外にダブルコーンが見える)

空中歩廊のお立ち台


納車スペースは2階にあり、ここは一般客からもよく見える。檜舞台にたって車を受け取る。そこから直接車を運転して帰ることができるのだ。なんという心憎い演出だろう。

お立ち台から見たところ。右が納車スペース。

スロープがあり、納車スペースからそのまま車に乗っていける。

納車スペースを反対側を見たところ。塗装サンプルが見える。





そして、もうひとつのお目当てがオリンピック公園。いうまでもなく、ミュンヘンオリンピックの主会場だ。もう、40年(!)も前の事になる。日本の男子体操、バレーボールが最強だった時だ。今となってはもう信じられないはるか昔のことである。

高速道路の橋をわたるとそこはオリンピック公園

左がオリンピックプール、右がオリンピックホール。

オリンピックホール。今日は準備中だったが、コンサートのポスターがいっぱい。

オリンピック水泳ホール。

この緊張感。

水泳ホール内部。水泳教室に子供たちが泳ぎに来ていた。

入り口は丘の上にあり、自然と客席に導かれる。プールは谷底のレベル。

オリンピックスタジアムに向かう。

振り向くとオリンピックホールーとタワー。


自然の地形を生かしたと思われるスタジアムは(かなりローコストにできたのではないか)、ひっそりと、しかし強烈な存在感を持ってそこにあった(設計は吊構造の権威、フライ・オットー)。
今となっては当たり前だが、その当時、これだけの大規模な吊り構造を実現したのはすごい。しかも、とても40年経ったとは思えない綺麗さだ。建ってすぐ朽ち果てていく現代建築が多い中で、これは一体何ということだろう。これは奇跡なのか。

オリンピックスタジアム。屋根がかかっているのは、ほんの一部。

地形をうまく利用していて、屋根のほかはほとんど構造物なし。

切符売場。かなり廃墟化しているもののいい味を出している。

これが40年前のもの? すばらしい透明感(素材はアクリルの一種(PLEXIGLAS))。

雨樋のディテール。

強者どもの夢の跡。

オリンピック公園を後にして。


昼食はまた、、マリエン広場に戻ってミュンヘンきってのビアホール、ホーフブロイハウスへ。3000人(!)収容とのことで、オクトーバーフェストのような大々ビアホールを想像したが、幾つもの部屋に分かれてそれほどでもない(それでもかなり大きいホールだが)。観光名所でもあるので、昼間から飲めや歌えの大騒ぎだ。

大型犬を連れている人が多い。盲導犬でなくても普通に電車に乗っている。



マリエン広場駅に戻る。

ぶらぶら歩いてビアホールへ。

ちょっと目を引いたおじさん。BMWのお膝元ならでは?



ハーフブロイハウス内部。幾つかのホールに分かれていてかなり広い。

ミュンヘンのレストランではお約束の定番衣装。

ここは観光客も多いので、昼間から賑やか。

ここでも、肉…

肉…

スープを頼んでも肉…


ホーフブロイハウス(F4)





 午後からは、古代から現代までの美術館が集まるピナコテーク地区へ。全部はとても見ることができないので、アルテ・ピナコテークでもノイエ・ピナコテークでもなく、現代美術館(ピナコテーク・デル・モデルネ)へ。これが大正解。現代絵画はもとより、工業製品、家具、建築に至るまで、素晴らしいコレクションだった。

現代美術館

中央ホール。これを中心に展示スペースが広がる。

プロダクトデザインのセクション

階段を降りて振り向くと、中央ホールが見える。

チェコで戦前から作られていた名車「タトラ」。知らなかったけれどこれはすごい。

アキラのバイク?

初代マック。ソニーのアイボも

リートフェルトの家具も充実

喫茶スペースで一休みして

これから国立歌劇場へ。


さてさて、夜は待望のミュンヘン国立歌劇場へ。あのカルロス・クライバーが振っていたあこがれの劇場。今日の出し物は「蝶々夫人」だ。3ヶ月以上も前にネット予約したが、良い席は全て売り切れだった。これが伝統か。



中にはいって、2階ホワイエへ。

2階のホワイエ

中央の一番立派なホワイエからは直接貴賓席にいけるようだ。

正面に貴賓席が見える。ウィーンのような個室的なバルコニー席はない。

ドイツ特有の平土間席。間の通路がない。皆心得ていて開幕直前にあっという間に埋まってしまった。


ミュンヘンもこれでおしまい。明日からはいよいよスペインへ。